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 竹馬の友、ヤセヌンティウスは、深夜、王城に召された。
暴君デブニスの面前で二人は相会い、抱き合った。
メロシが一方的に強く抱きしめるので、ヤセヌンティウスはつぶれそうになった。
メロシは事情を話し、ヤセヌンティウスは承知し、メロシを抱きしめた…つもりだが、メロシは抱かれた感覚がなかった。
 ヤセヌンティウスは縄打たれ、メロシは出発した。
初夏、満天の星で、メロシは星と星をつないで食べ物を連想しながらのんきに歩いていった。
はたして、間に合うのだろうか。

 メロシはその夜、寝ながら歩いていった。
メロシの第六感が目覚め「心の目」を使えるようになり、称号が「すごい」メロシになった。
 すごいメロシ(以下略メロシ)は明くる日の午前に村に着いたが、目は閉じたまま、よろめいて歩いてくるメロシの、寝ぼけた顔を見て村人たちは驚いた。
 一人が話しかけるとメロシは、
「はらへった~」と、やはり寝ぼけているようだった。
 メロシがはっきり目を覚ましたのは午後の3時だった。
 その晩、メロシ主催の晩餐会では、町で買い占めた「野菜生活」を出して、人一倍、料理を食べた。
その食べ方と音は凄まじく、外の豪雨の音も消し去った。
たらふく食ったメロシは、野菜生活の12パック目を握ったまま爆睡していた。
メロシは眠ってもうるさい音をどこからか出して、外の雨音はやはりかき消されていた。

 メロシが目覚めたのは明くる日の薄明のころである。
メロシは体中にパワーがみなぎっていると感じた。
それは、昨日の「野菜生活パワー」の影響だった。
 メロシはすぐに出発し、その足はいつになく軽快で、称号は「野菜生活俊足メロシ」となった。
 野菜生活俊足メロシ(以下略)メロシはものすごい速さで町への道を駆け抜けた。
 メロシはもともと体力がなかったが、ない体力は減ることがなく、全速力だった。
 空は灰色がかり、昨日の豪雨のなごりを見せていた。

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 メロシは単純な男であった。
買い物(ほぼ食料)を積んだショッピングカートを携えたままで、のそのそ王城へ入っていった。
 たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。
調べられて、メロシの懐中からは肉切り包丁が出てきたので騒ぎが大きくなってしまった。
 メロシは王の前に引き出された。
「この肉切り包丁で何をするつもりであったか。言え!」
暴君デブニスは静かに、けれども威厳をもって問い詰めた。
その王の顔は血色が良く、頬にはふくよかなぜい肉がついていた。
「ひ、人々を…暴君の手から救うのだ。
メロシは自分の本音を抑えてとっさに答えた。
「む…いま何か聞こえたが、しかたのないやつじゃ。おまえにはわしの美食の心がわからぬ。」
「言うな!」
メロシはよだれが出そうになり、反駁した。

 …「おまえだって、丸焼きにされてからでは物も言えぬぞ。おまえの肉は美味そうだから、しっかり味わってやろう。」
「私に情けをかけたいつもりなら、処刑までに1ヶ月の日限を与えてください。」
「だめだ、長い」
「では、1週間」
「…わしをなめているのか?」
「わかりました。では、3日。晩餐会があるので、3日のうちにわたしは晩餐会を行い、必ず、ここに帰ってきます。」
「ばかな。豚(トン)でもないことを言うわい。逃がしたわしの豚(ぶた)が帰ってくるというのか。」
「そうです。豚は方向音痴だそうですが、なんとか帰ってきます。
私は約束と食事のマナーは守ります。せっかく人々を晩餐会に招待したのです。
そんなに私が信じられないならば、この町に、ヤセヌンティウスという者がいます。
私の無二の友人だ。あれを人質においていこう。
私がここに帰ってこなかったら、あの友人を食べてもいいです。頼む、そうしてください。」
 それを聞いて王は、残虐な気持ちでほくそ笑んだ。
ヤセヌンティウスの写真を見ながら、
…三日目に五右衛門釜に入れて煮殺して食ってやるのも気味がいいが、
このヤセヌンティウス、肉がついていない。痩せすぎて食えるような脂肪がないではないか。
 わしは悲しい顔をして、骨の髄でもすすってやるか。
〈終〉

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 メロシは激怒した。
必ず、かの暴飲暴食の王を除かねばならぬと決意した。
メロシには満腹がわからぬ。えりかは、村の飲食店を営む。
ホラを吹き、客と遊んで暮らしてきた。
けれども、食べ物に対しては人一倍敏感であった。

 …晩餐会も間近なのである。
メロシは、それゆえ、晩餐のごちそうやらごちそうやら、ついでに食器とテーブルクロスも買いに、はるばる町へやってきたのだ。
まず、ごちそうから買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。

 …「驚いた。国王はご乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を食してみたい、と言うのです。
 このごろは、臣下の心臓もお食べになり、少し肥えている者には、自らの肉を差し出すことを命じております。
 ご命令を拒めば火にかけられて丸焼きにされます。
 今日は6人の丸焼きができました。」
聞いて、えりかは激怒した。
「あきれた王だ。生かしておけぬ。」
 …実は、メロシは
「王だけ人を食べるなどずるい。私も食べてみたい。王の肉を。」
などと思って激怒した。
興味をもったメロシは、王城へと進んでいった。

〈終〉

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